鋼における浸炭熱処理では部品を高温にし、急冷(焼入れ)することで硬い「マルテンサイト」組織を形成し実用に耐える丈夫な部品を作ります。しかし、熱処理プロセスでは熱処理変形が発生したり、焼入時の冷却ムラによって品質の不均一が発生するなどの事象が起こります。これは製品の品質ばらつき等の悪影響を引き起こすため、「強度」に関する高精度なモノづくりのためには熱処理諸現象の精密なコントロールが必要不可欠です。
当研究室では熱処理プロセスの中でも焼入時に起こる冷却ムラに起因する熱処理変形に注目し、世界で初めて不均一に起こる熱処理変形のシミュレーション予測に成功しました、
また、実測した焼入時の冷却ムラの様子を下記に掲載します。両側を断熱したステンレス材を焼入れた際、前面(見えている面)での蒸気膜の発生の推移は不均一に起こっています。これが熱処理変形の不均一に繋がっていることを突き止めました。